高齢者等終身サポート専門行政書士の森です。今回は、「自筆証書遺言と公正証書遺言の違い」についてご説明します。
遺言書には種類がある?まずは基本を確認
相続や遺産の分配について、ご本人の意思を法的に残すための書類が「遺言書」です。その中でも、日常的によく使われるのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つです。
どちらも法的効力がありますが、それぞれに特徴と注意点があり、適した選び方をすることが大切です。では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは、その名のとおり、遺言者が自筆で全文、日付、氏名を書き、押印することで作成される遺言書です。
自宅で1人でも作成でき、費用もほとんどかからないことから、最も手軽な方法といえます。
ただし、次のような注意点があります:
- 書き方に不備があると無効になることがある
- 紛失や改ざん、隠匿などのリスクがある
- 死後、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要
特に高齢の方や、法律に詳しくない方が単独で作成すると、内容に不備が生じやすく、かえってトラブルの元になることも少なくありません。
公正証書遺言とは?
公正証書遺言は、公証役場で公証人が関与して作成する遺言書です。
遺言者の意思を確認しながら、法律に則った形式で作成されるため、形式的な不備のリスクがなく、最も安全な遺言方法とされています。
特徴は以下のとおりです:
- 公証人が内容を確認しながら作成するため、法的に確実
- 原本が公証役場に保管され、紛失・改ざんの心配がない
- 検認が不要で、すぐに手続きに入れる
ただし、証人2名の立会いが必要であり、作成に費用(1~数万円)がかかります。また、公証人とのやり取りや書類準備に時間も要するため、事前の計画が大切です。
どちらを選ぶべきか?
それぞれにメリット・デメリットがありますが、「内容を確実に実行してほしい」「相続人間のトラブルを防ぎたい」という場合には、公正証書遺言の方が安全で確実です。
一方、「まずは手軽に書いてみたい」「財産が少ないので形式にはこだわらない」という方には、自筆証書遺言も選択肢になります。ただしその場合は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を併用するのがおすすめです。
当事務所のサポート内容
当事務所では、遺言の目的や家族構成、財産内容を丁寧にヒアリングし、その方に合った遺言の種類・内容をご提案します。
公正証書遺言の作成支援では、公証役場との調整や証人の手配も可能です。
高齢者の方には、ご自宅訪問での相談対応も行っています。
まとめ:遺言は「書くこと」より「残すこと」が大切
どんなに立派な内容でも、形式が整っていなければ無効になるおそれがあります。
そして、有効な遺言書を残しておくことは、残されたご家族への最大の思いやりになります。
遺言書の作成に迷ったら、まずは専門家に相談することをおすすめします。初回相談は無料ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。