高齢者等終身サポート専門行政書士の森です。
今回は、相続手続きの中でも特に重要でありながら、見落とされがちな「相続財産の整理と目録作成」について、遺言書との関連も踏まえてお話しします。
相続財産って、どうやって把握するの?
相続が発生した際、「一体、どんな財産があるのだろう?」と戸惑われる方が少なくありません。預貯金、不動産、株式などはもちろん、意外なところに財産が隠れていることもあります。例えば、故人が趣味で集めていた骨董品や絵画、あるいはデジタル資産(ネット銀行の口座、ポイントなど)も相続財産となり得ます。
これらの財産を漏れなく把握し、正確にリストアップする作業が「相続財産の整理」です。
なぜ財産目録が必要なの?
相続財産を整理し、「財産目録」としてまとめることには、いくつかの重要な理由があります。
遺産分割協議の土台となる:相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」は、財産の全容が明らかになって初めてスムーズに進みます。目録がないと、「他に財産があるのでは?」といった疑念が生じ、協議が難航する原因にもなりかねません。
相続税の申告に必要:相続税が発生する場合、税務署に提出する相続税申告書には、財産目録の添付が義務付けられています。正確な財産評価のためにも不可欠です。
手続きを円滑に進める:不動産の名義変更や預貯金の解約など、各種相続手続きの際にも、金融機関や法務局から財産の証明を求められることがあります。財産目録があれば、手続きの漏れやミスを防ぎ、効率的に進めることができます。
遺言書と財産目録の深い関係
「遺言書があるから財産目録は不要では?」と思われるかもしれません。しかし、実は遺言書と財産目録は密接な関係にあります。
遺言書を作成する際、ご自身の財産を正確に把握していなければ、具体的な分け方を明確に指定することができません。「〇〇の土地を長男に」と書いても、その土地の正確な情報(所在、地番など)が抜けていると、登記手続きで問題が生じる可能性があります。また、遺言書に記載されていない財産があった場合、その財産については改めて遺産分割協議が必要になります。
そのため、遺言書を作成する前に、ご自身の財産を詳細にリストアップした財産目録を作成しておくことを強くお勧めします。これにより、遺言書の内容がより具体的で実行性の高いものになり、残されたご家族が迷うことなく、あなたの「想い」を実現できるようになります。
財産整理・目録作成、自分でできる?専門家に頼むべき理由
ご自身で財産目録を作成することも可能です。しかし、いざ取り組んでみると、下記のような難しさや注意点があります。
財産の調査範囲が広い:不動産であれば登記簿謄本、預貯金であれば通帳や残高証明など、多岐にわたる書類の収集と確認が必要です。
評価が難しい財産がある:不動産や株式など、専門的な知識がないと正確な評価が難しい財産もあります。
抜け漏れのリスク:故人しか知らなかった財産や、普段意識していなかった財産(貸金庫の中身、隠れた負債など)を見落としてしまう可能性があります。
法的に有効な形式:財産目録にも一定の書式や記載事項があり、不備があると認められないケースもあります。
こうしたリスクを避け、正確かつ網羅的な財産目録を作成するためには、行政書士などの専門家に依頼することが最も確実です。当事務所では、お客様のご状況に合わせて、以下のようなサポートを提供いたします。
財産の洗い出し・調査支援:どのような財産があるか、どこに情報があるかを丁寧にヒアリングし、調査をサポートします。
必要書類の収集代行:不動産の登記簿謄本や金融機関の残高証明書など、必要となる各種書類の取得を代行します。
正確な財産目録の作成: 法的に有効な形式で、抜け漏れなく財産目録を作成いたします。
遺言書作成との連携:財産目録の内容を踏まえて、より具体的な遺言書作成のアドバイスや支援を行います。
まとめ:財産整理は、未来への「安心」を整理すること
相続財産の整理と目録作成は、単なる事務作業ではありません。それは、ご自身の人生で築き上げてきた財産を明確にし、大切なご家族へスムーズに引き継ぐための、いわば「未来への安心」を整理する作業です。
「何から手をつけていいか分からない」「複雑そうで面倒だ」と感じる方も多いでしょう。しかし、この一歩が、残されたご家族の負担を減らし、円満な相続を実現するための大切な土台となります。
当事務所では、初回相談は無料です。相続財産のことでご不安な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの「想い」が、確かな「財産」として未来に繋がるよう、丁寧にサポートさせていただきます。