高齢者等終身サポート専門行政書士の森です。
今回は、事業承継の分野で注目されている「株式信託」について、分かりやすく解説します。
なぜ今、「株式信託」が必要なのか?
中小企業のオーナー様にとって、ご自身の株式を後継者に引き継ぐことは、会社の未来を左右する重要な課題です。しかし、そこにはいくつかのハードルがあります。
・後継者に経営を任せるにはまだ不安がある
・株価が高騰していて、株式の譲渡が難しい
・オーナー自身に万が一のことがあった場合、経営がストップしてしまう懸念
特に「会社の支配権」である議決権を後継者に渡しつつも、経営者の地位は維持したいというお悩みはよく耳にします。そんな時、解決策の一つとなるのが「株式信託」です。
株式信託の仕組みとメリット
株式信託とは、オーナー様(委託者)が信頼できる後継者(受託者)に株式を託し、その管理や議決権の行使を任せる仕組みです。これにより、株主名簿上の名義は後継者に変わりますが、株式が生み出す配当金などの経済的利益(受益権)はオーナー様が引き続き受け取ることができます。
この仕組みの最大のメリットは、以下のとおりです。
・元手資金なしで「経営の承継」を先行できる
・自益信託(委託者と受益者が同一)として設定することで、信託設定時には贈与税がかからない
⇒これにより、後継者が多額の資金を用意することなく、スムーズに承継を進められます
・オーナーが元気なうちは「経営権」を維持できる
⇒信託契約で「指図権」を設定すれば、オーナー様が引き続き議決権の行使について後継者に指示できます
・将来の相続を見据えた対策も可能
⇒受益権を後継者以外の親族に「暦年贈与」することもできます。これにより、毎年非課税の範囲内で贈与を進め、将来の相続財産を徐々に圧縮していくことが可能です。
・相続発生後も安心
⇒万が一オーナー様に何かあっても、遺産分割協議が不要となり、経営の空白期間を回避できます。
株式信託は、事業承継の『羅針盤』
株式信託は、複雑な事業承継を計画的に進めるための強力なツールです。誰に、いつ事業を継がせるのかが明確になり、次に取るべき対策(納税資金の確保、遺留分対策など)も見えてきます。
当事務所では、オーナー様の想いを丁寧に伺いながら、ご家族の状況や会社の状態に合わせた最適な信託設計をご提案します。
円滑な事業承継は、会社と従業員、そしてご家族の未来を守ることにつながります。お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は無料です。