高齢者等終身サポート専門行政書士の森です。
遺品整理と生前整理についてです。ほぼ9割が生前整理を「必要」と感じる社会の意識と行動のギャップについてお伝えします。
ほぼすべての人に届いている「遺品整理」の認知
ある調査では、「遺品整理」という言葉の意味を知っていると答えた人は、約9割に上ります。この結果は、遺品整理が一部の専門的な事柄ではなく、現代社会を生きる多くの人にとって、すでに認知度の高い身近なトピックとなっていることを示唆しています。
さらに、実際に遺品整理を経験した人(自分で行った、または家族・親族を手伝った人)も約4割から半数近く(約45%)を占めることがわかっています。今後予定がある人を含めると、この数字はさらに増える見込みです。この高い経験率は、遺品整理が現代のライフイベントの一つとして定着しつつあり、誰もがその課題に直面する可能性があることを裏付けています。
遺品整理の二大苦~「思い出の迷い」と「物理的な物量」
実際に遺品整理を経験した人たちが、作業で最も困ったこととして挙げたのは、「何を捨ててよいか迷った」という項目で、これは約2割(約19%)で最多でした。次いで、「量が多すぎて終わらなかった」という回答も約14%に上ります。この結果は、遺品整理が「心の整理」と「物の整理」という二つの大きな壁に阻まれていることを示しています。
特に「迷い」の要因を探ると、処分できなかった品物として、「写真・手紙・アルバム」が約3割(約32%)と圧倒的に高くなっています。故人の思い出が詰まった品々は、遺族にとって最も手放しにくいものであり、これが作業の停滞を招く精神的な重荷となっていることが明確です。
遺品整理を始めるタイミングについては、故人が亡くなってから「四十九日以降〜半年以内」に始める人が最も多いという結果が出ています。これは、法要が一区切りとなり、ようやく作業に取り掛かる心の余裕が生まれる時期と考えられますが、心の整理がつく前に物理的な物量と向き合わなければならない現実が、多くの負担を生んでいると言えるでしょう。
9割の意識と2割の行動~生前整理の大きなギャップ
遺品整理の困難さを知る人々は、「生前整理」の必要性について非常に高い意識を持っています。調査では、「生前整理を進めておくべきだ」と答えた人は、「強く思う」「どちらかといえば思う」を合わせてほぼ9割(約90%)に達しています。この数字は、多くの人が自身の死後に遺族に負担をかけたくないという強い思いを抱いていることを示しています。
しかしながら、この高い意識は実際の行動にはほとんど結びついていません。自分自身の死後に備えて、実際に身の回りの整理を「すでに進めている」または「少しずつ始めている」と答えた人は、わずか2割強(約23%)にとどまっています。
ほぼ9割が必要性を感じているのに、行動しているのはわずか2割。この大きなギャップの背景には、「まだ時間がある」「何から手をつけていいかわからない」「面倒くさい」といった心理的な障壁があると考えられます。
「まだだが意識はしている」と答えた人も約4割を占めており、行動へのきっかけや、具体的に何をすべきかという指針を求めている人が多いと推察されます。業者任せではない現状と家族間コミュニケーションの重要性遺品整理の主体は、現状では依然として家族・親族です。遺品整理を業者に依頼した経験があるという人は約1割にとどまっており、ほとんどの人(約8割強)が業者への依頼を検討すらしていないという結果が出ています。
この背景には、費用や「家族がやるべき」という心理的な抵抗があると考えられます。そのため、遺族間のコミュニケーションは極めて重要になります。遺品整理を「誰がやるのか」を事前に話し合うべきだと答えた人は、約7割に上ります。
多くの人が、この作業が特定の誰か一人の負担になることを避けるべきだと考えているのです。また、遺品整理について相談したい相手として、約6割が「家族・親族」と回答しており、最も身近な存在が頼りになる相談先となっています。
しかし、興味深いことに「相談したい人がいない」と答えた人も約2割半(約25%)存在しており、遺品整理というデリケートな問題について、誰にも相談できずに孤立している人が少なくない現状も垣間見えます。
まとめ~生前整理を「着実に」進めるために
ある調査から、遺品整理は多くの人が経験するライフイベントであり、その最大の課題が「思い出の品を処分できないという精神的な迷い」と「多すぎる物理的な物量」であることが浮き彫りになりました。そして、この負担を回避したいとほぼ9割が願いながらも、実際に生前整理に踏み出せている人はわずか2割にとどまるという現実があります。
このギャップを埋め、円滑な終活を実現するためには、生前整理を「いつか」ではなく「今から少しずつ」始めることが重要です。まずは、遺族が最も手放しにくい「写真や手紙」などのデジタル化を進めることや、親族間で遺品の意向について簡単な話し合いを始めることから着手することをおすすめします。
遺品整理の際の「迷い」や「大変さ」を減らすことができるのは、他でもない、生前の自分自身です。小さな一歩でも着実に整理を進めることが、未来の遺族に対する何よりの思いやりとなるでしょう。
(※このコラムは、一般社団法人終活協議会のコラムを参照して執筆いたしました。