高齢者等終身サポート専門行政書士の森です。
12月31日、一年の締めくくりです。年末年始は実家の大掃除をしたり、書類を整理したりと、モノの「生前整理」を行う良い機会です。(大晦日には掃除をせず、前日までに済ませておく、というご家族もおられることと思います。)
しかし、物理的なモノの整理と並行して、今、整理しておくべきことがあります。それは、私たちの生活のすべてが詰まっていると言っても過言ではない「スマートフォン」の中身、すなわち「デジタル資産」の整理です。
今回は、年末の大晦日にぜひ実践していただきたい「スマホと生前整理」の考え方、すなわち「デジタル終活」について解説します。
「見えない遺産」デジタル資産の増加とそのリスク
現代において、スマートフォンは単なる連絡ツールではなく、私たちの生活の「ハブ」となっています。
ネット銀行や証券口座、各種サブスクリプション(月額課金サービス)、そして何万枚もの写真や動画、大切な人とのメール履歴。これらはすべて「デジタル遺産」として、財産的な価値と、感情的な価値の両方を持っています。
問題は、これらのデジタル資産が、ご本人以外はロック解除もアクセスもできない状態で、存在すら知られないままになってしまうリスクです。
家族が直面する「パスワードの壁」と二つの大きな問題
もしもの時、残されたご家族が最も頭を悩ませるのが、突破できない「パスワードの壁」です。スマートフォンの画面ロックや、各アプリのID・パスワードがわからなければ、以下の二つの大きな問題に直面します。
金銭的な負担とリスクの継続: 利用していない動画配信サービスや、音楽配信サービスなどのサブスクリプション(月額課金)が停止できず、銀行口座から無駄な引き落としが続くリスクがあります。
大切な思い出の消失: スマートフォンに保存されたお子様やご家族との何万枚もの写真、または故人とのやり取りの履歴など、感情的な価値のあるデータが永遠に見られなくなるリスクがあります。これは残されたご家族にとって、精神的な負担にも繋がります。
年末年始に実践!「デジタル終活」3つのステップ
「デジタル終活」とは、スマホの中身を生前整理し、ご家族に負担をかけないよう準備することです。年末年始の少しの時間を使い、以下の3つのステップで整理を進めましょう。
不要なアカウントの削除(引き算): 過去に登録したものの、現在は全く使っていないSNSやECサイトのアカウントは、情報漏洩のリスクを高めます。利用規約を確認し、可能なものはこの機会に退会・削除を推奨します。
重要なデジタル資産のリストアップ(集約): インターネットバンキング、証券口座、サブスクリプション、そしてご家族にとって重要だと思われる写真のクラウドサービスなど、財産的・感情的に大切なサービスの一覧を作成します。
情報の「安全な共有」: スマートフォン本体のロック解除方法、各アカウントのIDやパスワードといった重要な情報を、エンディングノートなどに正確に記し、信頼できるご家族に「どこに保管しているか」を伝えておきましょう。物理的な遺言書や契約書と同じように、デジタル情報も形に残すことが重要です。
物理的な大掃除と同じように、デジタル資産の整理も「未来の家族への優しさ」です。年末のこの時期に少し時間を取って、ご自身のスマホの中身を見つめ直し、安心できる新年を迎えましょう。