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相続・遺言

知っておきたい「相続のタイムリミット」~3カ月・4カ月・10カ月の壁を乗り越えるために【第28回】

高齢者等終身サポート専門行政書士の森です。

今回は、相続手続きにおける「期限」についてのコラムです。

身近な方がお亡くなりになると、葬儀や法要、身の回りの整理に追われ、時間はあっという間に過ぎていきます。しかし、相続手続きには法律で定められた厳格な「期限」がいくつか存在します。

特に、ある身内の相続手続き中に、その相続人様も亡くなられる「数次相続」が発生した場合、それぞれの相続における期限が重なり、混乱が生じやすくなります。後回しにすることで大きな不利益を被らないよう、主要な3つの期限について整理しておきましょう。

【3カ月の壁】相続放棄・限定承認の検討

相続開始を知った日から最初に訪れる大きなハードルが「3カ月」です。これは、相続人が「相続するかどうか」を決める期限(熟慮期間)です。

相続放棄:借金などの負の遺産が多い場合、一切の財産を引き継がない手続きです。

限定承認:プラスの財産の範囲内で借金を返すという条件付きの相続です。

もし何もしないまま3カ月が経過すると、「単純承認」したとみなされ、全ての借金を背負うことになります。被相続人様の財産状況を迅速に把握し、この期間内に判断を下す必要があります。

【4カ月の壁】故人の所得税「準確定申告」

次にやってくるのが「4カ月」の期限です。通常、確定申告は翌年の2月〜3月に行いますが、年度の途中で亡くなった方の場合は、相続人が代わりに申告を行う必要があります。これを「準確定申告」と呼びます。

対象者:自営業だった方や、年金受給者で一定以上の収入があった方、不動産所得があった方などです。

注意点:相続に関する税金については、専門家である税理士にご相談されることを強くお勧めいたします。

【10カ月の壁】相続税の申告と納税

最も多くの方が意識されるのが「10カ月」という期限ではないでしょうか。これは「相続税の申告および納税」の期限です。

財産評価の難しさ:不動産(マンションなど)が含まれる場合、その評価額を算出するのに時間がかかります。

遺産分割協議との兼ね合い:相続税の申告には、原則として「誰が何を継承するか」が決まっている(遺産分割協議が整っている)必要があります。

数次相続の場合では、最初の相続手続きが保留になっている場合もあります。10カ月の期限は待ってくれません。もし協議が間に合わない場合は、一旦「未分割」の状態で法定相続分通りに申告し、後日修正するという手間が発生します。

数次相続における期限の考え方

例として、お父様の相続手続きが完了する前にお母様も亡くなられた場合を考えてみましょう。このような場合、期限はどうなるのでしょうか。

例えば、お父様の相続についての「相続放棄の期限」は、お母様が存命であればお父様の死から3カ月ですが、お母様が判断せず亡くなった場合、お母様の相続人であるA子様たちは、「お母様が亡くなった(自身が相続人になったこと)を知った日」から3カ月以内であれば、お父様の相続についても判断できる特例があります。

しかし、戸籍の収集や銀行手続きを自力で行うには限界もあります 。特に数次相続では、誰がどの権利を承継しているのかを正確に把握しなければ、全ての期限に間に合わせることは困難です。

おわりに:専門家を賢く活用するために

相続の期限は、一度過ぎてしまうと「知らなかった」では済まされない重いものです。特に不動産の登記や、複数の金融機関の解約が残っている場合、書類の不備一つで数週間がロスしてしまいます。

当事務所では、相続人様のご意向を尊重しつつ、法的な期限を守るためのスケジュール管理アドバイスや、数次相続に対応した遺産分割協議書の作成を全力でサポートいたします。

まずは現在の状況を整理し、どの期限がいつ来るのかを明確にすることから始めましょう。お一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。

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