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高齢者の暮らしと法務

海老之宮よろず市さんで「終活相談会」?――地域に根ざす行政書士の奮闘記と、意外な出会い【第33回】

高齢者等終身サポート専門行政書士の森です。

いつもお読みいただき、本当にありがとうございます。これまでは「遺言書の書き方」や「遺産分割協議の注意点」など、少し専門的なテーマを中心にお届けしてきましたが、今回は趣向を変えて、先日私が行った「現場」でのエピソードをライトに綴ってみたいと思います。

舞台は、地元の神社で開催されたよろず市(フリーマーケット)。そこで「無料相談ブース」を出店した際のお話です。

賑やかな社務所で

極寒の朝、しかも雨も降ったり止んだり。

キッチンカーが軽食を販売し、アクセサリーや小物などのブースも。メインの客層は、元気いっぱいにはしゃぐ幼児や小学校低学年のお子様、そしてそれを見守るお母様方。若者がお友達と連れ添ってもご来場されていました。

そんな「幸せな日常」が凝縮されたような空間の一角に、私は行政書士による「終活・生活法務等無料相談会」という、少々お堅い看板を掲げて社務所2階に陣取りました。

正直に申し上げましょう。開始1時間で悟りました。「……これは、かなりのアウェー戦だぞ」と(笑)。

お祭りの夜店ような高揚感の中で、「終活」や「相続」という言葉は少しばかり重たかったのかもしれません。食べ物は飛ぶようにとは言わないまでも、まあまあお客様が訪れておりました。それらを横目に、私のブースの前を通り過ぎる方々の足取りは、実に軽やかでした。

9時間で6名様との対話――数字以上の「価値」がある時間

結局、朝から夕方までの9時間で、お話しできたのは6名様でした。

「たった6人?」と思われるかもしれません。しかし、これまでコラムで「対話こそが、将来の家族の笑顔を守る一歩」とお伝えしてきた通り、この6名様と交わした言葉には、数字以上の重みがありました。

どのようなお悩みがあったのか、少しだけご紹介します。

① ご自身の終活について(1名)

「いつかやらなきゃと思っていたけど、どこに相談すればいいか分からなくて。今日、ここで先生を見かけて勇気を出したの」

そうおっしゃる女性。まさに、このコラムでも繰り返しお伝えしている「元気なうちにしかできない準備」について、第一歩を踏み出された瞬間でした。

② 親の終活について(2名)

「離れて暮らす親に、どうやってお金や実家の話を切り出せばいいか……」

これは子世代の共通の悩みですね。第32回でお伝えした「ニュースやエンディングノートをフックにした切り出し方」など、具体的なアドバイスをさせていただきました。

③ 「行政書士って、何をする人?」(2名)

「名前は聞いたことあるけど、具体的に何をお願いできるの?」

実は、私にとってこれが一番嬉しい質問でした。私は、「皆様の想いを法的な形に翻訳する『通訳』のような存在ですよ」とお答えしました。行政書士を身近に感じていただけたなら、出店した甲斐があったというものです。

④ 暇つぶしのおしゃべり(1名)

「あら、行政書士さん?」

と、世間話に花を咲かせてくださった方。実は、静かな時間が続いていた私にとって、この何気ない会話がどれほどありがたかったことか。地域の皆様の「生の声」を聞ける時間は、何物にも代えがたい財産です。

「相談する場所がある」という安心を届けたい

今回のよろず市さまでの出店は、行政書士としては「苦戦」だったかもしれません。しかし、私はこれで良かったのだと感じています。

相続や終活の問題は、往々にして「親が亡くなった後」や「トラブルが起きた後」に表面化します。でも、本来はもっと手前の、今日のような穏やかな日常の中で、おしゃべりするように考え始めるべきことなのです。

神社の境内や社務所で、お子様の笑い声を聞きながら、「そういえばあの日、行政書士がブースを出していたな。今度実家に帰ったら、ちょっと話してみようかな」――。

そんなふうに、誰かの記憶の片隅に「相談できる場所」として残ることができたなら、私の9時間は大成功だったと言えるでしょう。

まとめ:最初の一歩は「おしゃべり」からでいい

「行政書士に相談するなんて、よっぽどのことがないと……」

そう思わずに、まずは「おしゃべり」の延長でいいのです。

難しい専門用語を並べるのではなく、皆様が抱えている「なんとなくの不安」を、一緒に整理して「安心」に変えていく。それが、街の法律家である私の役目です。

もし、またどこかのイベントで私のブースを見かけたら、ぜひお気軽にお声がけください。「ちょっと暇つぶしに」でも大歓迎です。皆様の「想い」に耳を傾けられる日を、心よりお待ちしております。

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